先日、株式併合の記事を書きましたが、
https://divisave.com/2021/05/23/reverse-stock-split/
今度はそれとは逆の株式「分割」されるとどうなるか、について調べてみました。
結論としては、企業・株主双方にとってメリットのある取り組みだと感じましたので、株式分割が発表された場合は前向きな気持ちで向き合えば良いかと思います。
目次
株式分割とは1株を複数の株式に分割すること
株式分割とは、1株を複数の株式に分割する行為を指します。
例えば株価500円の株を1株保有していたとします。
その企業が1株→5株への株式分割を発表した場合、以下の図のように保有株の変化が起こります。
保有数量は増えますが、評価額は変わりません。なので平均取得単価が1/5に下がります。今回の場合は1株500円→100円ですね。
なぜわざわざ株式分割を行うのでしょうか。
一般的には、以下が目的だと考えられています。
まず株式分割する効果として目に見えてわかるのは、株価の低廉化です。
先程の図では1株が500円→100円に値下がりしていますね。
株価が下がると、それにつれてその株式を買えるようになる(買いたくなる)投資家が増えるので、これまでよりも広い層の投資家に取引してもらえるようになります。
株価が安くなると自分でも買える!ってなりますよね。
投資家にそう思わせるのが株式分割の一番の目的です。
企業にとってメリットが多い株式分割
株式分割によるメリットとして、まず企業側では以下二つのメリットが挙げられます。
①取引してくれる投資家の数が増える(裾野が広がる)
②取引市場を昇格できる可能性が上がる
取引してくれる投資家の数が増える。
株式分割すると株価が下がるため、その株式を取引してくれる(取引したいと思う)投資家が増えることが想定されます。
例えばディズニーランドを運営するオリエンタルランドは2015年3月末に1株→4株の株式分割を実施しています。
当時の株価は36,000円で、1単元(100株)購入するためには360万円の資金が必要でした(信用取引の場合を除く)。
オリエンタルランドは、株主優待「ディズニーリゾートワンデーパス」が目的だった人も多かったのではないでしょうか。
2015年3月末に株式分割が実施されると、1単元購入に必要な資金が360万円から90万円に大きく値下がりしました。
この結果、オリエンタルランドの株式を取引する人が増えて、株式分割前後の出来高が以下の通り大きく跳ね上がることとなりました。
取引期間 | 出来高レンジ |
2014年(株式分割前) | 平時10万〜40万 |
2015年(株式分割後) | 平時100万〜200万 |
取引しやすくなって、売買する投資家が増えたからですね。
360万円だと買えなくても、90万円なら買えるという人は一定数居そうです。
このように株式分割は投資家の裾野を広げるため、その企業は多くの投資家に興味を持ってもらえるというメリットを得ることができるのです。
取引市場を昇格できる可能性が上がる
取引市場を昇格できる可能性が上がることも、株式分割による企業側のメリットの一つです。
東証一部へ昇格するには、流通株式数が20,000単位以上という条件がありますが、
株式分割では、1株→5株というように、現在流通している株式を強制的に増やせるので、東証一部昇格の条件を満たす可能性が出てきます。
東証一部は市場参加者が多く、広告宣伝効果が格段に違ってきますので、取引市場が昇格することでさらなる業績向上も期待できそうですね。
東証一部へ昇格させることを目的に株式分割を計画する企業もあります。
投資家にとっても良いことが多い株式分割
一方、株式分割は投資家にとってもメリットがあります。
①高くて手が出せなかった株が買えるようになる
②株価上昇にプラスの影響を与える
高くて手が出せなかった株が買えるようになる
オリエンタルランドの例が典型的ですが、これまで株高で購入を諦めていた投資家の中にも株式分割によりオリエンタルランド株を購入できる人たちが出てくるようになりました(出来高が5〜10倍になった)。
わたしの場合は任天堂が欲しいなと思っているのですが、今は株高で到底買えそうにありません。
680万円の元手がないと買えないわけですが、もし株式分割してくれるなら、わたしにも買えるチャンスが出てきそうですね。
これまで買えなかった銘柄が買えるようになるのは、投資家にとって大きなメリットですよね。
株価にプラスの影響を与える(かも?)
その株式を購入できる層が増えるということは、その銘柄の需要が上がるということです。
需要が上がれば、自然と株価は上昇していきますよね。これも株式分割のメリットです。
実例として、先の例のオリエンタルランドの株価を見てみると、
確かに上昇してるけど、上がり始めたのは2017年頃。なんか微妙・・・。
ほかにもオリエンタルランドと同時期に株式分割した企業の株価を見てみます。
どれもなんとも言えないチャートですね・・・。
確かに需要増により、買える(買いたいと思う)投資家が増えるのですが株価が絶対に上昇するというわけではなさそうです。
これは、株式分割により投資家の需要は増えるものの、すでに織り込み済みであったり、その時の業績に左右されていることも考えられます。
株式分割では、理論上株価上昇にプラスの影響を与えると考えられていますが、その影響はそこまで大きくないようです。
株式分割が「発表」された直後では一時的に株価が上昇する傾向がみられますね。
おわりに
今回は株式分割を勉強してみました。
株式併合とは違い、前向きにとらえられる特徴が多かったというのが印象的です。
「多くの投資家に買ってもらう」ということを目的に株式分割をしますので、
・これまで買えなかった株が買えるようになる
・株価上昇にプラスの影響を与える
という点は好意的に捉えても良いと思います。企業側も投資家により買ってもらうことを目的としていますから、その思惑に乗って株を買うことでWIN-WINの状況をつくることができます。
保有銘柄で株式分割が発表されたら、前向きな気持ちで向き合うようにしましょう!
直近ではトヨタが株式分割を発表しているので、株価や出来高の動きは注視しておきたいですね。