ネット証券のおかげで個人が投資をしやすい環境が整ってきましたね。
スマホひとつで日本国内だけでなく、アメリカやイギリス、東南アジアなど世界の企業に投資ができるというのは、ネット証券あってのメリットといえます。
現代はネット証券のおかげで誰もが簡単に投資家になれる時代になったのですが、言い換えればあまり勉強せずとも容易に株に手を出せる環境になってきたとも言えます。
わたしもその一人で、株の用語をよく理解せず、正直言って雰囲気で株に手を出しているところもあります。
このため、日々少しずつ勉強を進めているわけですが、今回は企業の業績や体力をはかる際に欠かせない「自己資本」について勉強してみました。
目次
自己資本は「投資家から集めたお金」と「事業活動で得られた利益」の合計
まず、自己資本ってなに?という点ですが、自己資本は「投資家から集めたお金」と「事業活動で得られた利益」の合計となります。
上場している企業であれば、主に株式市場を通じて投資家からお金を集めます。
未上場の企業であれば、身内やエンジェル投資家、クラウドファンディングなどを通じてお金を調達することになります。
ここで集められたお金が「資本金」になります。
投資家から集めたお金は、厳密には「資本金」と「資本剰余金」になりますが、ここではひとまず「資本金」としてひとくくりにします。
企業はこの資本金を元手に事業に必要なヒトを雇い、モノを購入していきます。
また、手に入れたヒト・モノにより行う事業活動の結果、利益が得られた場合はその利益も同様に自己資本として考えられます。
このため事業が好調なほど(利益を稼いでいるほど)、自己資本が増えていくということになります。
自己資本 = 資本金 + 企業利益
資本金は返済する必要のないお金
自己資本に数えられる資本金(投資家から集めたお金)は返済する必要がありません。
個人の場合、第三者からお金を受け取ると、一般的にはそのお金の「返済」が必要になると思うのですが、企業の資本金の場合は毛色が異なります。
いわば投資家が無償でお金をくれるわけです。
なので、資本金を使って事業活動を行った結果、利益を出せなかった場合でも、損失を被った場合でも、投資家から集めたお金は返済する必要もなく、単に投資家が拠出したお金の分だけ損をする形になります。
では、投資家はなぜ企業に大事な資金を渡すのか。それが株式の存在に繋がります。
一般的に企業は投資家からお金をもらうと、その額に合わせた株券を投資家に渡します。
2009年に株券はすべて電子化されていますので、実物の株券を渡すことはほとんどありません。
この株券には、利益配当請求権が含まれており、投資家はこの権利(配当金)により拠出した資金を回収していくことになります。
また上場企業の場合には、一般個人にも株が流通するため、市場価格が設定されます。
このため利益をあげている企業の株は、「より拠出したお金を回収できる」との思惑から、投資家のお金が集まりやすくなり、(株は発行数が限られるため)需要と供給の論理から価格が上昇していきます。
投資家は取得した株の価格が上がったタイミングで他者(市場)に株を売却すれば、値上がりした分だけ利益を得ることができるわけです。
だから投資家は返済される見込みがないお金(資本金)でも、無償で拠出してくれるのですね。
返済する必要があるのは他人資本
少し話がそれますが、企業がお金を調達する方法の中には、「返済する必要があるお金」もあります。
それが社債の発行や銀行からの融資、つまり借金です。
これらの調達したお金は借りたお金なので、利子を含めて返済していく必要があり、自分のお金ではない「他人資本」として扱い、自己資本とは区別されます。
今回の記事では細かい説明は省略しますが、貸借対照表(B/S)では、負債の部として右側に記載されるものですね。
資本金は「資本金」と「資本剰余金」に大別される
ここまで『投資家から集めたお金』を「資本金」と定義して説明しましたが、この資本金は厳密には「資本金」と「資本剰余金」の二つに大別されます。
投資家から集めたお金 = 資本金 + 資本剰余金
一般的に企業であれば、『資本金〇万円』といったように、「資本金」は固定されています。
資本金をもとに税務上の取り扱いを決めるので、頻繁に変わると色々と不便だからですね。
先の説明では「資本金を使ってヒト・モノを調達する」としていましたが、実際に使われるのは資本金ではなく、資本剰余金(利益がある場合は利益剰余金)であるのが一般的です。
ヒト・モノの調達に資本剰余金ではなく、資本金を充てることも可能だそうです。
https://www.smbc-card.com/hojin/magazine/bizi-dora/accounting/capital.jsp
自己資本を用いる指標たち
ここまで自己資本は「投資家から集めたお金(資本金と資本剰余金)」と「企業活動で得られた利益」の合計であると説明をしましたが、どのような場面でわたしたちが自己資本を意識するのかについて、説明します。
ROE:自己資本利益率
まず多くの投資家が利用する指標のひとつにROE(Return On Equity:自己資本利益率)があります。
ROEはいかに自己資本(投資家から集めたお金と事業活動で得られた利益)を効率的に使ったかを表す指標です。
このため、運悪く会社の事業活動に非積極的な人材を採用したり、役に立たない物品を購入したりすると、(利益創出の効率悪化から)このROEは低下する傾向にあります。
日本の企業では一般的にROEが10~20%程度であれば優良企業であると判断されるそうです。
また経済産業省の資料によると上場企業ROE平均値は日米欧で以下となっているそうです。
2018年の上場企業ROE 加重平均 | |
日本 | 9.4% |
アメリカ | 18.4% |
ヨーロッパ | 11.9% |
日本はアメリカと比較して約半分。自己資本の使い道が非効率なのがわかりますね。
自己資本比率
自己資本を使う指標のもう一つは自己資本比率です。
自己資本比率は自己資本と他人資本の合計のうち、自己資本(返済が不要なお金)の割合のことを言います。
自己資本比率は高ければ高いほど、安定的な経営をしているという指標になります。
返済が必要なお金が少ないほど、経営リスクは低いですからね。
一般的には、自己資本比率40%以上でつぶれにくい企業と言われています。
わたしの投資する企業は高配当銘柄ばかりなので、だいたい40%〜60%の企業が多いように感じます。
まとめ
今回は、自己資本について調べてみましたが、多くは見聞きして知っていたものでした。
しかし『自己資本は「投資家から集めたお金」と「事業活動で得られた利益」の合計』と、改めて明文化しておくと他の用語の学習に登場したときも理解がスムーズになるような気がします。