奨学金は繰り上げ返還しない方が良い
日本学生支援機構(JASSO)の発表によると、2017年における大学・短大生(通信制を除く)に対する奨学金の貸与割合は37.5%に上ったそうです。
およそ3人に一人が奨学金受給者という計算です。
かくいう私も奨学金の受給者で、その返還額はトータルで180万円に上っています。
この奨学金は借金なので、もちろん返還しなければなりませんし、利息もついているので、返還が早ければ早いほど利息支払いが減り、トータルの返還額も少なく済みます。
しかし、私はそれを重々承知の上で、あえて早期返還しないのがベターと考えます。
なぜなら、奨学金の金利が他のローンと比較して極端に低いからです。
車や家をローンで買うぐらいなら奨学金の早期返還にあてるお金をローンの頭金に回したほうが随分お得になります。
奨学金の金利は圧倒的な低さ

日本の奨学金制度はもともと、経済的な理由から教育を受けられない人のために設立された制度であるため、民間のローンと比較すると破格の金利設定になっています。
以下は、価格ドットコム(2020年4月現在)のローン人気ランキングで1位の商品の最低金利を示しています。
カードローン:3%
自動車ローン:0.9%
住宅ローン(変動):0.457%
フリーローン:2%
一方で奨学金の金利は金利見直し方式だと0.02%(2020年4月現在)と圧倒的な低さになっています。
もっとわかりやすく比較するため、それぞれの金利において、以下の条件で支払利息(返済までにいくらの利子を支払うのか)を算出しました。
①100万円の借入を14年で返済
②300万円の借入を20年で返済
支払利息の計算には、以下のサイトを利用しました。
項目を埋めるだけで計算してくれるので、大変便利でした。
https://www5d.biglobe.ne.jp/Jusl/Keisanki/Risoku/risoku.html
上記サイトで計算した結果、支払利息はそれぞれ以下のようになりました。
カードローン:¥420,328
自動車ローン:¥126,098
住宅ローン(変動):¥64,030
フリーローン:¥280,219
奨学金(金利見直し):¥2,802
グラフにするとこんな感じです。

カードローン:¥1,801,479
自動車ローン:¥540,443
住宅ローン(変動):¥276,226
フリーローン:¥1,200,986
奨学金(金利見直し):¥12,009
グラフにするとこんな感じ。

桁違いの安さです。
今の金利が14年ないしは20年続いたとすると奨学金の支払利息はトータルでわずか数千円〜1万円ということです。
奨学金がどれだけ優遇されているのがわかりますよね。
奨学金を早期返還してローンを組むなんてナンセンス

上述の通り民間のローンと比較すると、奨学金は金利がとても低いです。
なので、返還期間の間に、何らかのローンを組む予定がある場合は、奨学金の繰り上げ返還はしない方がお得になります。
もしも奨学金の繰り上げ返還を考えている方がいるなら、今後の資金計画を考慮したほうが良さそうですね。
ただ、意外にも私の身近に奨学金を早期返還してローンを組むという行動を取る方が多かったので、驚いています。
入社直後から頑張って貯金して、200万円の奨学金を3年で返還して、その後数年も経たないうちに車を8年ローンで買って...
それをするぐらいだったら、返還に使うお金を車の購入費用にあてたほうが良いのに...
下手すると数万〜数十万円変わってきますので、本当にもったいない。
早期返還分を投資に回すのもあり

とはいえ、奨学金は借金なので早く返したくなる気持ちはわかります。
なので私は、高配当株を買うためにJASSOから借金していると思い込んで投資をしています。
奨学金の年利が0.02%(2020年4月現在)なので、理論上はそれ以上の配当利回りの株を買えば、奨学金の早期返還よりも得をする可能性が高いということになります。(株価の変動を意識しなければ)
さきほどのローン比較と同じ条件で高配当株を購入した場合で試算すると、以下のグラフのようになります。

①の条件だと14年間で70万円の配当金を受領。

②の条件で300万円の配当金を受領できる計算になり、奨学金の早期返還するよりも圧倒的にお得です。
まとめ
奨学金は、民間のローンと比較すると圧倒的に金利が低いため、自動車購入や家の購入でローンを組む予定がある人は、早期返還しないのが得策と考えます。
それに加えて私は、奨学金の早期返還分を高配当株に投資をするのがベターと考えています。
それにより、支払わなければならない奨学金の利子は1万円程度に対し、得られる配当は300万円と圧倒的に得をする計算です。
奨学金は借金なので早期返還したい気持ちはわかりますが、その分を高配当株に投資すれば、奨学金の早期返還で得られる以上のメリットを得られるので、奨学金早期返還を検討中の方はぜひ一度立ち止まって、考え直してみてください。