三菱商事はインカムゲイン投資家なら一度は購入を検討したことのある株だと思います。
私は投資を始めた当初、欲しい欲しいと思いつつも手の出しにくい株価であったため購入を控えていた覚えがあります。
資産の増えてきた現在では、ようやく100株購入することができています。
さて、三菱商事という銘柄は以下3点がポイントになります。
①累進配当方針
②総合商社売上1位だが、収益性は4位
③金属資源依存が強め
それでは株価から見ていきます。
目次
【株価】値がさ株だがコロナで絶好の買い場

三菱商事の株価は2020年5月28日現在、2,500円超で私にとっては値がさ株、気軽に手を出せる金額ではありませんね。
しかし今回のコロナで年初来高値(2,948円)からおよそ30%の値下がりを見せ、一時2,094円まで下落しました。
2番底が来ない限りは、このタイミングが絶好の買い時でしたね。

私は年初来高値付近で買ってしまっています・・・。
【配当】2016年の増配以降4年連続増配中

累進配当方針を対外的に発表した2016年以降4年連続で増配しています。
また2018年公表の中期経営戦略2021でも累進配当継続を宣言しており、既に2020年の増配を発表していますので、5年連続はほぼ確定でしょうか。
昨今は多くの企業でコロナの影響から減益・赤字を公表しており、三菱商事もその影響を受けていると思われます。
しかし、この累進配当の原則に従えば、仮にコロナの影響が甚大だったとしても減配は行わないということになります。
2021年までの経営戦略で累進配当を発表していますし、あと2年は1株132円以上の配当が期待できそうですね。
https://divisave.com/2020/05/15/2429/
【売上】総合商社の間では経営効率劣位、金属資源に依存

三菱商事の売上は2013年度と2018年度で大きく変動しています。これは会計基準に依存する変化のようなので、この売上からは適切な業績の変化はつかめそうにありません。
一方、EPSを見てみると2015年に大きく落ち込んでいることがわかります。
これは持ち分法による投資損失が原因です。この年は配当も減配しており、三菱商事としては苦しい年だったようです。
総合商社業界における立ち位置
少し脱線して、三菱商事の業界における立ち位置を調べてみました。
まず、2019年3月期の売上ランキングを掲載します。
1位 16.1兆円 三菱商事
2位 11.6兆円 伊藤忠商事
3位 7.4兆円 丸紅
4位 7.0兆円 三井物産
5位 6.8兆円 豊田通商
6位 5.3兆円 住友商事
三菱商事は堂々の売上第一位です。16兆円超えは強いですね。
日本国内全体で見てもトヨタ自動車に次ぐ第2位の売上高で、日本を代表する企業であることがわかります。
一方、収益性(売上高経常利益率)を見てみると少し状況が変わってきます。
1位 7.8% 三井物産(売上4位)
2位 6.4% 伊藤忠商事(売上2位)
3位 4.8% 住友商事(売上6位)
4位 4.4% 三菱商事(売上1位)
5位 3.4% 豊田通商(売上5位)
6位 -2.4% 丸紅(売上3位)
利益率が最も高いのは三井物産でした。三菱商事は4位まで下がっています。
三菱商事は総合商社の中で最大の売上を誇りますが、利益を稼ぐ力は他の商社に軍配が上がっている状況にあります。
セグメント別業績
三菱商事のセグメント別業績は以下となっています。金属資源が最も強いセグメントとなっていますね。

ちなみに伊藤忠商事も同様に金属セグメントが最も稼いでいますが、食品やエネルギーなどでもバランスよく利益を上げています。
それに比べ三菱商事は、金属資源セグメントに対する依存度が高いという点がポイントですね。
ちなみに2018年度は以下のような収支になります。

これを見ると金属資源への依存は一過性のものでもなさそうということがわかりますね。
【キャッシュフロー】近年は比較的安定した業績。

リーマンショック以降、不安定な経営が続いていましたが、近年は安定的に推移しているように見えます。
2008年は豪州の資源関連会社(炭事業)、2011年はチリの資源関連会社(銅製錬)への投資で投資CFが大きくマイナスに振れています。
総合商社はバリューチェーンの構築に付加価値を見出している
またもや話が脱線しますが、なぜ総合商社である三菱商事が資源関連会社を買収するのでしょうか。
総合商社といえば卸売業。仕入れた部品や素材をメーカーなどに卸して利益を得る業態です。
その彼らがM&Aを行う理由は、バリューチェーンを構築することにあると言われています。
似たような会社が各々の利益のみを意識して生産すると、どうしても無駄が発生してしまいます。
一方、三菱商事のような総合商社が資源採掘から流通まで押さえると、その無駄をなくすことができ価値の最大化につながるということが期待されます。
これが総合商社が資源関連会社を買収する理由ですね。
M&Aというとハゲタカなどの投機筋のように買って売ってをイメージしますが、少し毛色が違うようです。
【資産】資産は右肩上がり、自己資本比率は安心水準

資産は継続的に投資を続けていることもあり、右肩上がりに増えています。
自己資本比率も近年は38%近くと比較的安定的な資本環境となっています。
まとめ
三菱商事は総合商社で売上1位の言わずと知れた大企業です。
ですが、収益性(売上高経常利益率)でみると他の総合商社の方が上位になり、経営効率は決して良いとは言えません。
セグメントの業績を見ても、金属資源セグメントが利益の約40%を占め、セグメント依存を持っているのが気になるところです。
しかし、累進配当を対外的に公表しているという大変魅力的なポイントを持っていることから私のようなインカムゲイン投資家にとっては最小単元でも持っておきたい銘柄と思います。
日本では数少ない累進配当方針を宣言している企業だからです。
2018年に発表した経営戦略2021で累進配当継続を宣言していますので、2021年までは少なからず累進配当継続するものと思います。
とはいえ、累進配当の真価はこのコロナショックの影響をもろに受けた2021年の配当でも減配をしないことにあると思いますので、実際にその方針が守られるのかを確認をしたいですね。
2020年の配当は前年の減益を受けながら、増配を発表しています。
期待値は高いですね。