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ブラックベリー、栄枯盛衰も自動運転のセキュリティに活路
会社名:BlackBerry Limited(BB)
設立年:1984年
本 社:ウォータールー(カナダ)
業 種:Software Infrastructure(yahoo! financeの区分)
銘柄特性:グロース株、無配
配当利回り:0%(2020年7月)
ブラックベリーはカナダに本社を置くソフトウェア企業ですが、もともとは携帯電話を製造するハードウェアメーカーでした。
携帯電話の製造は今も継続していますが、2020年夏に発売するスマートフォンがブラックベリーとして最後の携帯電話になるそうです。
https://wired.jp/2020/02/11/end-of-the-blackberry-is-officially-upon-us/

製造する端末は小型のキーボードを搭載しており、独特なインターフェースです。ひと昔前の海外ドラマでよく見るような形でしょうか。
ブラックベリーの携帯電話は、2009年に世界シェア2割にまで上り詰めますが、すぐにiPhone・Androidが市場シェアを拡大。それに合わせて衰退していきます。
これによりブラックベリーの売上はピーク時から大幅に減少、一時は身売りの話も出るほどでした。
そんなブラックベリーの転機となったのは2013年の経営陣刷新です。
新CEOとして選任されたのは、今もCEOとして指揮を奮うジョン・S・チェン氏。
チェン氏は、ブラックベリーの立て直しのために、携帯電話に採用されていたセキュリティ技術に目をつけ、その技術を強みにソフトウェア事業を拡大させていきます。
その結果、2014年に3%だったソフトウェア関連売上は2020年には、売上の98%を占めるまでに拡大しています。

この変革の中でチェン氏は、セキュリティ分野のさらなる強化のために大規模なM&Aを進めます。
その結果、第三者機関から「市場のリーダーに位置する企業」との評価を受けるなどセキュリティ分野におけるブランド力の向上に成功します。
そのおかげもあってか、顧客基盤も充実してきており、特にG20のうち18カ国の政府と取引があるのは評価すべきポイントですね。

ブラックベリーのセキュリティ技術が市場から評価されている証です。
そしてブラックベリーが次に狙うのは、自動運転におけるセキュリティ。
この分野で市場からの評価を得られるかどうかが、今後ブラックベリーの株価が上昇するかどうかにかかってくると思います。
個人的には成功分野になるのではないかと、大変期待しています。
【株価】リーマンショック前から▲97%

リーマン・ショック前と比べると97%下がっています。
高値掴みしてしまった人は、かなり辛い状況ですね。
でもこれから買うという人は、一歩踏み出しやすい株価です。
【配当】無配

配当は無配が続いています。
業績が安定しておらず利益も大きくないので、今は配当を出さず事業活動に専念しています。
配当よりも株価の上昇を狙う銘柄ですね。
【売上・EPS】売上は大幅減も利益は持ち直し

携帯電話市場でiPhoneなどに淘汰されて以降、業績が徐々に悪化。特に2013年はEPSが▲10ドルと大きな赤字になっています。
しかし、2013年に経営陣ががらりと変わり、それ以降、僅かながらも徐々に上向いてきているという状況です。
グラフを2013年以降で切り取っています。売上は減っていっているものの、利益は徐々に上昇傾向にあることがわかります。

【キャッシュフロー】事業環境は芳しくない

2010年だけを見れば将来が期待できるキャッシュフローですが、以降のグラフは少し心配になる内容です。
業態を大きく変更した2013年以降で切り取ってみましたが、まだまだ安心できるキャッシュフローではないです。

事業の成長期待がこの会社に投資をするポイントだと思います。
【資産】自己資本比率の高さがポイント

ブラックベリーは自己資本比率が60%以上と、健全な資本体質といわれる40%をはるかに上回り、安定した経営環境と言えます。この点は評価すべきポイントです。
2013年以降で切り取ったグラフは以下となります。

ここ数年は自己資本比率を意識的に高めているような気がしますね。
【トピックス】エンドポイントセキュリティ企業を買収
ブラックベリーはソフトウェアメーカーを目指すにあたり、コア事業としてセキュリティ分野を強化しています。
直近ではエンドポイントセキュリティ企業のCylance社を総額14億ドル(日本円で約1,500億円)で買収しています。
CylanceはAIを用いたセキュリティソフトを開発しており、他のソフトでは防ぎきれないウィルスにも有効と言われています。
ブラックベリーはこの特徴を踏まえて、将来くるであろう自動運転の時代にセキュリティ商材として適用させようと目論んでいるようです。
自動運転に対するハッキングは最重要課題となるので、それに対する布石というのは先見性が感じられます。
また余談ですが、Cylanceは私の会社でちらほらと話題にのぼりだしており、ズームのときと同じ匂いがしているというのも私としてはポイントが高いと感じます。
このCylanceの買収が良い方向に働くと株価への好影響が期待できそうです。
まとめ
ブラックベリーはもともと携帯電話を製造していたハードウェアメーカーでしたが、iPhoneやAndroidの台頭により携帯電話市場で惨敗します。
このままではまずいと、2013年に経営陣の刷新が行われ、一気にソフトウェアメーカーへと変貌していきます。
今ではセキュリティをコア事業に据え、自動運転を見据えた大型買収を行うなど、戦略的に事業を行っています。
業績はあまり良くないので無闇に手は出せませんが、自己資本比率が高い点を考慮すると、一定のリスクを負って投資するのもありかと思う銘柄です。
個人的には今後の活躍をとても期待している銘柄なので、毎月徐々に増やしていきたいなと考えています。