累進配当をご存知でしょうか?
累進配当とは、減配せず、配当を維持、もしくは利益成長に合わせて増配する配当方針のこと。
ダイヤモンド・ZAIより
ダイヤモンド・ZAIによると、累進配当方針とは「減配を行わないのが基本スタンス」という配当政策で、配当狙いの投資家にとってはとてもメリットがありそうな方針ですね。
日本株だと三菱商事や伊藤忠商事などが採用しています。
今回は私のような配当狙いの投資家にとってメリットが大きそうな累進配当について調べてみました。
累進配当方針は「減配なし」が最大の特徴

累進配当の定義をもう一度掲載します。
累進配当とは、減配せず、配当を維持、もしくは利益成長に合わせて増配する配当方針のこと。
ダイヤモンド・ZAI より
「 減配せず、配当を維持」なので、最低でも減配をしないことが原則です。
それでいて「 もしくは利益成長に合わせて増配する」なので、利益が出れば累進的に増配をするという方針ですね。
つまり、
今の配当額以上が期待できる配当政策
と言えます。
増配してくれれば一番良いですが、減配を意識しなくて良いのは大変ありがたい方針ですね。
累進配当の配当額は配当性向を基準に決められる

利益成長に合わせて増配する累進配当は、何を基準にして配当額を決めるのでしょうか?
累進配当を採用している三井住友フィナンシャルグループ(以下、SMBC)の株主還元方針には以下のような記載があります。
配当は、持続的な利益成長を勘案し、累進的に行うものとし、配当性向は、次期中期経営計画期間中を目処に、40%を目指します。
SMBC HP より
このように累進配当における配当額は、一般的に配当性向を基準にして決められます。
ちなみにグロービス経営大学院の資料によれば、配当性向とは以下と定義されています。
SMBCでは配当性向が40%となる水準を目指すということなので、2019年3月期決算を例に取ると、以下となります。
1株当たり当期純利益519.95円 ✕ 40% = 207.98円
ということで、累進配当方針により当時の配当180円が約208円まで増配する可能性があるということですね。
さらに、仮に1株あたりの利益が700円と好業績になった場合は、700円✕40%=280円を目指すということになります。
このように、当期の1株利益に配当性向を掛け合わせた配当額を目指すのが累進配当の基本的な考え方です。
米国株における累進配当は原則「増配」

ここまでは日本株における累進配当を調べてきましたが、米国株においてはどうなのかも調べてみました。

そもそも累進配当って英語でなんて言うの?
「Progressive dividend policy」というらしいです。
Progressive dividend policyについて調べていると、イギリスのIGグループが配当方針の違いについて記載しているサイトを見つけました。
Progressive dividend policy
If a company commits to a progressive dividend policy then it is pledging to grow the dividend each year.
Like stable dividends, the payout is linked to long-term earnings forecast for the business.
The main difference is that, if earnings grow, then a progressive policy aims to raise the dividend by a similar amount, but if earnings fall the company will still raise the payout.
企業が累進配当方針をコミットした場合、毎年増配を誓約することを意味します。
安定的な配当のために、配当の支払いは長期的な収益予測にリンクされています。
(他の配当方針との)主な違いは、収益が増えた場合には配当も同等に増やしますが、収益が減少した場合にも増配するという点です。
※拙い翻訳能力なので言い回しは違うかもしれませんが、要旨は外していないと思います。
IGグループより
日本株の累進配当とは少しニュアンスが違い、配当維持が原則というよりも増配が原則といった方が正しいかもしれません。
このサイトには他にも以下の配当方針が記載してありました。
Residual dividend policy
設備投資など運転資金を支払ったあとに残った金額をすべて配当として支払う
Stable dividend policy
業績の好悪に関わらず原則配当を維持し、中長期的には利益の拡大に合わせて配当を増やしていく
Regular dividend policy
業績に連動して増減配を行う
これを見る限り日本株の累進配当は「Progressive dividend policy」というよりも、「Stable dividend policy」の方が近い印象です。
諸外国とは少しニュアンスが違うことに注意が必要ですね。
累進配当を採用している日本株

さて日本における累進配当は「原則減配なし」ということでしたが、実際にその方針を採用している企業はどんな企業でしょうか。
以下調べて見つかった企業です。
三井住友フィナンシャルグループ

三井住友フィナンシャルグループは言わずと知れたメガバンクの一角ですね。
配当性向40%を目指しています。2019年3月期の1株当たり利益が519.95円ですので、同じ業績であれば180円の配当が208円まで上昇する可能性があります。
三菱商事

三菱商事は2016年に初めて累進配当を宣言し、2018年に発表された経営戦略2021でも累進配当継続を宣言しており、2021年までの継続はほぼ間違いないでしょう。
そんな三菱商事は配当性向35%を目指しており、2020年3月期の1株利益が347.71円なので、実現すれば配当122円ですが、既に配当額は122円を超えています。
累進配当の原則は「業績好悪によらず減配なし、または増配する」ですから、132円で配当維持。
かと思いきや134円に増配しています。
株主還元意欲を感じますね。
伊藤忠商事

伊藤忠商事も累進配当方針を宣言しており、配当性向30%を目標としています。
2019年3月期の1株利益が324.07円ですので、業績維持できれば配当85円が97円まで上昇する可能性があります。
日本エスコン

日本エスコンは1株利益が118.9円で配当性向30%を目標にしている中、すでに配当36円と配当性向30%を超えています。
2020年は38円へと増配を予定しているので、こちらも三菱商事同様に株主還元意欲が伺えます。
いちご

いちごは目指す配当性向を公表していませんが、2020年2月期の配当は7円で、配当性向が41.5%と比較的高い水準となっています。
2020年2月期は減益でしたが、それでも累進配当方針に則り、配当を維持しています。
私が探して見つかったのは以上です。累進配当方針を採用する企業はあまり多くないです。やはり業績が悪いときに減配しないというのはリスクが高いので敬遠されやすいですね。
まとめ
日本の累進配当方針は、原則減配なしで業績に応じて増配していくという投資家にとってはありがたい株主還元方針ということがわかりました。
日本株で採用している企業は数少ないですが、ポートフォリオに組み込めば比較的安定的な配当収入が期待出来ます。
米国株ではProgressive dividend policyもしくはStable dividend policyを掲げている企業を探せば、日本株同様に安定的な配当収入が期待できることと思います。
近いうちに米国株の企業も探して記事にしたいですね。
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